2005年08月31日

海外で家庭教師・・・(3)

 家庭教師先の母親は海外赴任を喜びつつも、いつ帰国できるのか心配だったようだ。大企業の出世競争において海外赴任がどのような意味、どの程度の重みを持つのか知らなかったが、あまり長く海外にいると出世競争から取り残される不安があるらしいことはわかった。

 母親の関心の中心はもっぱら夫の出世と子供の受験で、勉強の合間のお茶の時間やときどきごちそうになった食事の話題もそれらがほとんどだった。

 父親は九州大学を卒業したらしい。母親がどこを卒業したか聞かなかったが、大卒であった。受験が大変なことはわかるし、重要なことも理解しているが、そこそこの大学を出た人たちが受験競争に振り回されることもないだろう、かなり能力があって難関を突破した人たちなのだから塾や予備校の情報に踊らされる必要もないような気がすると、言わなくてもいいようなことを一度母親に向かって言ってしまったことがあった。母親は「世間が悪いんです!世間がいけないんです!」と言い切った。なるほどそう考えるかと思ったので、それっきり何も言わずにおいたが、この母親とは分かり合うことはないだろうなとも思ったものだった。

 その後、夕食をごちそうになったときのことだ。父親の会社の同僚に話が及んで、中学生の子供が「○○さんは東大を出ているんだよね」と言った。母親がすかさず「東大を出ていても偉くはないのよ」と口を挟んだ。たまにはこの母親もいいことを言うものだと感心したが、すぐに「東大を出ていても会社で偉くならないとダメよ。会社でどれだけ出世するかが重要なの。出世する人が偉いのよ」と付け加えた。

 母親を褒めたことを即座に後悔、撤回し、この母親とは未来永劫分かり合うことはないと確信した。このやりとりの間、黙って食事をしているだけの父親が印象的だった。
posted by Prof.T at 22:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 昔の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海外で家庭教師・・・(2)

 留学中に家庭教師をしていた中学生の一家は、父親が大企業に勤めていた。中学生の子供も含め、一家そろってビジネスクラスで赴任してきた話を貧乏留学生は複雑な思いで聞いたことを覚えている。

 さして暑くもならない土地で、4LDKの部屋すべてにエアコンを付けていた。もちろん1つ1つの部屋は日本よりもはるかに広い。母親は語学教室と地元の主婦が主催する趣味のサークルに通っていた。中学生の子供は地元のスポーツクラブに参加していた。日本では考えられない長さの夏休みを取って、あちらこちらにドライブに行く話を自慢気に話した。その一方で、「お金がないので、家庭教師のお礼はあまりお支払いできません」と言ってくるのだから、驚き、呆れた。もともと別の家で家庭教師を頼まれていて、その空き時間を使ってついでにこの家の中学生を教えることになったので、まあ黙って聞いていたのだが、「教育に対する投資は惜しんではいけません」ぐらいは言ってもよかったかとも思う。
posted by Prof.T at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 昔の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海外で家庭教師・・・

 8月も終わり。ということで、今月中に締切の仕事を片づけなければならない。海外で日本から抱えてきた仕事をするものではないとは思うが仕方がない。

 そう言えば、留学中に家庭教師をやったことを思い出した。14年前の8月かな。窓からは外国の街並みが広がるのに、その部屋には日本の教科書、受験参考書が並んでいた。中学生で、高校受験が心配なのはわかるが、何も海外で受験勉強をすることもないとは思ったものの、こちらはそこそこのアルバイト代をもらえてありがたかった。
posted by Prof.T at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 昔の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

指導教授の性格を知る(3)

 前の記事で書いた先輩の話。

 フルブライト奨学金をもらってアメリカ留学を考えた彼は指導教授に相談した。答えは否定的なものだった。

 「応募してもなかなか通らないんだなあ。」

 そう言われて引き下がってしまった。応募締切が過ぎたある日、指導教授とキャンパス内ですれ違って次のように言われた。

 「なぜフルブライトに応募しなかったんだね。」

 この話も散々愚痴を聞かされた。確かに同情すべき余地はあるのだが、これも指導教授の性格からすれば、「大変なのはわかっていますが、チャレンジしたいと思います。」と言うべきだった。そこまで言えば、「まあ、やれるだけ、やってみるんだな」という答えが返ってくるのだ。

 指導教授は保守的な人だったが、チャレンジ精神を持った学生が好きだったのだ(と私は思っていた)。
posted by Prof.T at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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