2005年06月27日

「『楽勝科目』をなくせ」と言うけれど・・・

 「楽勝科目」をなくせ、大学側授業向上目指すという記事を読んだ。
 こういう傾向は時代の趨勢だろう。うちの大学も早く手を打たないといけない、そう思うのだが、それでも「楽勝科目」をすべてなくすことがいいのか、どうか、よくわからない。
 
 例えば、講義科目には専門科目と教養科目(教育科目などとも呼ばれる)とがある。専門科目は確かに楽勝科目をなくすべきだと思う。相対評価を導入し、成績の比率を厳密にすべきだと思う。しかし、教養科目はどうだろうか。早稲田の政経の事例が記事に書かれていたが、政経の学生であっても、物理学や文学といった教養科目を選択的に履修しなければならない。これらについても、専門科目と同じ基準で成績をつけるのはどうなのだろう。むしろ、意図的に「楽勝科目」にして、楽しく学ばせてもいいのではないだろうか?(早稲田の政経が専門科目と教養科目とで基準を分けているのか、同じにしているのか、記事からわからないし、私も知らない。)

 それにしても早稲田の政経で、成績評価の割合や過去の試験問題をホームページで公開するとは驚きである。もともと学生にたいする教育を放棄していたような学部であったし、このような合意にとうてい到達できないような教員間の対立があったはずだからだ。
 私は学部時代に物理学を教養科目で履修した。成績は「優」であった。理由は簡単である。超楽勝科目であったからだ。担当していたのは、火の玉の研究や超能力を批判してテレビでも著名な物理学者であった。当時はテレビに出ていなかったが、授業は漫談調で抜群におもしろかった。試験もきわめて簡単な問題が出された。
 中学、高校と理科が苦手で、とくに物理、化学が不得意だった私が、それでもときどき一般向けの科学雑誌を手に取ったり、「サイエンスZERO」を見たりするのは、この物理学の影響が大きい。超楽勝科目であったが、超楽勝科目であったからこそ、教養科目として十二分な成果を上げたのだと思う。
posted by Prof.T at 20:38| Comment(4) | TrackBack(1) | 新聞・テレビから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「楽勝科目」をなくしてしまおうという動きがあるとは、驚きました。日本の大学も変わりつつありますね。日本語の授業で、日本の教育の課があったときに「日本では大学に入るのが大変で、入ったら出るのは難しくない」というようなことが教科書に書いてあるのですが、それも一部では少しずつ変わってきていると言わなくてはいけないかなと思いました。参考になります。
Posted by ヒロシ at 2005年06月28日 20:34
ヒロシさん、コメントありがとうございます。
 楽勝科目をなくす動きが出てきていますが、それがただちに「日本では大学に入るのが大変で、入ったら出るのは難しくない」状況を変えることになるかは、ちょっと疑問です。というのは、大学は留年学生を出せないシステムになっているからです。留年学生を多く出すと、補助金がカットされたりするからです。この点については、改めて記事にしたいと思います。
Posted by Prof.T at 2005年06月29日 05:38
T先生、留年学生を多く出すと補助金カットとは、まるで大学が国から奨学金を出してもらって大学事業を行っているようですね。まったく知りませんでした。しかし、それは大問題ですね。日米の大学の比較で、必ず出ている話は「日本の大学は学費が安い」ということです。こちらの私大は授業料だけで3万ドルぐらいしますし、やはりお金を借りて大学行く人が多いので、卒業とともに多額の借金を負っている若い人は日本よりもずっと多いです。でもその分税金の控除になったりするんですが、それでもそのぶんニートになる暇もなく稼がなくてはという人が多いような気がします。
Posted by ヒロシ at 2005年06月29日 23:20
 学費の件はおっしゃる通りで、日本の場合は安すぎます。アメリカの大学は授業評価が充実しているとか、24時間図書館が使えるといったことはよく知られていますが、学費が日本の大学の2-3倍ほどかかるということは、ほとんど知られていません。日本の大学も学費を上げるべきだ(成績優秀な学生には奨学金を支給して、学費を免除すればよい)と思っています。
Posted by Prof.T at 2005年07月01日 01:33
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Weblog: 日々、ことのはを綴る。
Tracked: 2005-06-28 16:53
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