2005年10月23日

フクちゃん

 牡蠣フライを食べにとんかつ屋へ入ったら、なぜか学部学生時代によく通った大学近くのとんかつ屋のことを思い出した。

 カウンター席に10人ほど座れたのだろうか、2人がけのテーブル席が3つくらい、一番奥に4人がけのテーブル席があったような気がするが、記憶は定かではない。

 普通のとんかつは置いていないという変わったとんかつ屋だった。おろしトンカツ、チーズトンカツといった、変わりとんかつばかりを食べさせる店で、その中でも異彩を放っていたのが、チョコレートとんかつ、通称チョコとんだった。下手物的に扱われることが多かったが、食べてみるとチョコレートとソースがいい塩梅で、結構いける味で、好きだった。テレビや雑誌にもよく取り上げられていた。

 ただ貧乏学生だった私は、なかなかとんかつには手が出ずに、もっぱらメンチカツを食べることが多かった。こちらも必ず中に何か入っているものばかりで、普通のメンチカツはなかった。私が好きだったのは、納豆メンチだった。バナナ入りもあったが、これは手を出したことはない。

 他にもどんぶりいっぱいの豚汁がついたランチも名物だった。とんかつにつきもののキャベツは千切りにはほど遠かったが、それをワシワシ食べるのが、何ともこの店のとんかつ、メンチカツには、ふさわしかった。あんな太いキャベツを食べさせるとんかつ屋は、後にも先にもこの店くらいだろう。そうそう、みそ汁のお代わりができたんだった。けれども、お代わりのみそ汁にはほとんど具が入ってなかった。

 壁には学生や卒業生の寄せ書きの色紙が所狭しと並んでいた。店のつくりにしてもとんかつにしても、どちらも上品とはほど遠く、うまいかと問われても直ちに首肯しがたいのだが、それでもやっぱりときどき無性に食べたくなる。もう店がないだけに、その思いは一層強い。フクちゃんのチョコとんと納豆メンチは思い出の中に残るだけだ。
 
posted by Prof.T at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 昔の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

いつも楽しく読ませて頂いております。
当方只今W大学院博士課程に在学中の院生ですが、
最近になって本キャンに足を運んだ際、
フクちゃんが無くなっている事に気づき、
軽くショックを受けました。

私は学部時代から文学部でしたので、
あちらには新入生の時分に何度か足を運んだのみですが、
「チョコとん」に関しては「う〜ん、アリ?ナシ?」
という複雑な印象を憶えたことを思い出します。
(以来、私はっもっぱら「チーメン」でした)

たまにあの複雑な味をまた味わいたくなります。
Posted by tambourine at 2005年10月24日 10:09
  tambourineさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

 フクちゃんは去年の2月頃に閉店したようですね。Googleで検索すると、おじさんの写真や店内の様子を載せたHPが出てきます。

 久しぶりに納豆メンチでも食べようと思って出かけたら、閉店していて軽い目眩を覚えました。閉店直後で、もう少し早く足を向けていればと、後悔しました。
Posted by Prof.T at 2005年10月24日 18:37
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